お疲れ様です!元英語講師のIchikoです!
英語学習者なら誰もが面倒くさ・・・と思いがちな文法。そう、倒置法です。私の記憶では、高校時代、英語の授業で「強調したい時に主語と動詞が逆になるぞ〜」「テストに出るから参考書読んでおけよ〜」程度で終わりました!ちゃんと習った記憶がないんですね。
これまで英検、TOEFL、TOEICと様々な試験を潜り抜けてきましたが、正直「倒置法なんて超簡単」と思っていました。これらの試験の回答は選択式のため自分で英作をする必要がなく、基本的な構造さえ理解してけば全く問題なかったからです。多くの方が「読んで意味をとらえることはできる」のではないでしょうか。
そこで今日は「実践するための倒置法」をテーマに、倒置法に臆することなく積極的に使えるようになるための解説をしようと思います!
倒置法、読めるけど書けない!という方のために、わかりやすく解説します。必ず文章を書けるようになりましょう!
この世に存在しる倒置表現を全て紹介するのは不可能なので、今日は基本的な7つのグループ+αを学習したいと思います。
①否定を強調する:”no” “not” “never” が前に
「絶対にダメ」「全く〜ない」「本当に無理」などと、否定を強調する際は “no” や “not”などの否定語や否定語を含む表現が文頭に移動し、その後ろが(助)動詞→主語の順になります。
- Under no circumstances can you open the door.
何があってもドアを開けてはいけないよ。 - On no account will she make a mistake.
彼女がミスを犯すことは絶対にない。 - Not only did he lose his family but also all his money.
彼は家族だけではなく全財産も失った。 - Never had she read such a boring book.
彼女はこんなにつまらない本を読んだことがなかった。 - Not until yesterday did I receive the message.
昨日になってようやくそのメッセージを受け取った(昨日に到るまで受け取らなかった)
Under no circumstances どんな状況にあっても〜ない
On no account どんな事情があっても〜ない
In no way 少しも(絶対に)〜ない
By no means 決して〜ない
Not until〜 〜までない
②程度の低さを強調する:準否定語 (little, seldom, rarelyなど) が前に
little, rarely, never, hardly everなどの否定や準否定を表す副詞を文頭に出し、「程度が低すぎる」「ほとんど起こらない」ことを強調します。その後ろは(助)動詞→主語の順に。
- Little did I know he was such a generous person.
彼がそんなに気前が良い人だったなんて思いも寄らなかった。 - Seldom does my brother help others.
兄はめったに人を助けない。 - Rarely has my sister studied for exams.
妹はめったにテスト勉強をしたことがない。 - Hardly ever do my parents talk to their neighbors.
うちの両親は隣人とほとんど口をきかない。
準否定語の使い分け
「程度の低さ・量の少なさ」を強調する Hardly, Scarcely, Barely
この3つはほとんど同意語であり、程度や可能性が低いこと・量が少なすぎることを強調します。
- Hardly/Scarcely/Barely has she touched her lunch.
彼女はほとんど昼食に手をつけていない。 - Hardly/Scarcely/Barely did he have the time to play around.
彼には遊び回っている時間なんてほとんどなかった。
「頻度の低さ」を強調する Seldom, Rarely, Hardly ever
この3つは頻度の低さを表す同意語で、入れ替え可能です。
- Seldom/Rarely/Hardly ever does he come here.
彼はここへはめったに来ない。 - Seldom/Rarely/Hardly ever have I seen such an excellent performance.
こんなに素晴らしい演技をほとんど見たことがない。
③「〜しない限り….ない」と条件を付けて否定:”only” が前に
“Only when〜” “Only if〜” “Only after〜” “Only by〜” の4つは頭に入れておきたいところ。これらが文頭にくると「〜しない限り…..ない」と、条件を満たさなければ実現しないという否定的な部分を強調をします。
NoやNotがついていないのになぜ否定に?と思いますよね。
Onlyの元々の意味が「ほんの〜、〜しか」という側面から考えると、上記の例文
Only if I go there can I see him. は「彼に会うにはそこに行くしかない」という意味になり、裏を返せば「そこに行かないと彼に会うことができない」と、ちょっと否定的な意味になるのです。倒置で文頭にOnlyが出ると、否定的な部分がさらに強調されます。
- Only when he needs money is he kind to me.
彼はお金が必要でなければ優しくない。(お金がある時だけ優しい) - Only by taking the taxi can we get there on time.
タクシーで行かないと間に合わない。(タクシーで行きさえすれば間に合う) - Only after he had left did I noticed my feelings.
彼が去るまで自分の気持ちに気づかなかった。(彼が去ってから気づいた) - Only if I show my ID card can I enter the bar.
IDなしではそのバーに入れない。(IDがあれば入れる)
従属節と主節の2つの節から成る文章構成の場合、主節(この場合は後ろ側)で倒置が起こります。混乱しないように注意です。
従属節:Only if I show my ID card
主節:can I enter the bar. (倒置が起こる)
④「〜した途端に…」:”Hardly…when” “Scarcely…when” “No sooner…than”
倒置法のところで必ずと言って良いほど出てくるこの3つ。「….した途端に〜する」というように、ある出来事の直後に次の出来事が起こる、またはほぼ同時に2つの出来事が起こる様子を強調します。この3つはセットで頭に入れてしまうと良いかもしれません。2つの節の時制に注意して例文を見てみてください。
- No sooner had he made money than he used it up.
彼はお金を稼ぐや否や使い切ってしまった。 - Hardly had the teacher left the classroom when the students started to talk.
先生が教室を出た途端に生徒たちは話し始めた。 - Scarcely did I go to bed when someone knocked the door.
ベッドに入った瞬間に誰かがドアをノックした。
「稼ぐ」→「使い切る」というように、1つ目の出来事が明らかに2つ目の出来事よりも前に起こっている場合、2つの節の時制は一致しません(大過去→過去)。
しかし、前後関係が曖昧な場合。例えば、「ベッドに入る」という行為と「誰かがドアをノックする」という2つの出来事がほぼ同時に起こったと考えられる場合などには、時制が一致することもあります。
⑤「もしも〜なら」(仮定法を含む)を強調:”If” を省略してから倒置
条件を表す副詞節、いわゆる「もしも〜なら」に倒置が起こり、強調されることがあります。仮定法を含む条件節の倒置法では、if が省略され、その後動詞(助動詞)→主語の形に。まず「条件を表す副詞節」と「仮定法」を復習したい方はこちらをチェックしてくださいね。
Type 1: Should you study hard, you will pass the exam.
元の構文は If you (should) study hard, you will pass the exam. (しっかりと勉強すればテストに合格するよ)。この場合、ifが省略され、動詞の前に隠れている助動詞shouldが前に出ます。一般動詞(この場合はstudy)が文頭にくることはないので気をつけてくださいね。
- If you require any assistance, you can let me know.
→Should you require any assistance, you can let me know.
もし何か援助が必要であれば知らせてください。 - If I see him, I will contact you right away.
→Should I see him, I will contact you right away.
もし彼を見かけたらすぐに連絡するよ。
Type 2: Were you my son, I would encourage you to go to collage.
元の構文は If you were my son, I would encourage you to go to collage.(君が私の息子だったら、大学に進学することを進めるよ)。Type1と同様に if が省略されています。Type2で上記のように Be動詞wereが使われている場合は主語と動詞を入れ替えるだけでOKです。
- If I were you, I would accept his offer.
→Were I you, I would accept his offer.
私だったら彼のオファーを受けるわ。 - If you were me, what would you do?
→Were you me, what would you do?
あなただったらどうする?
ただし!条件節(前部の節)で一般動詞が使われている場合は注意が必要です。以下を見てみてください。
- If you ate too much, you would feel sick.
→Were you to eat too much, you would feel sick.
食べすぎると具合が悪くなるよ。
繰り返しますが、一般動詞が文頭にくることはありません。この場合、元の構文 If you ate too much… を
If you were to eat too much….と書き換える作業から始まり、そこから ifを省略し、主語と動詞を入れ替えます。
- If I won the lottery, I would buy a cottage by the sea.
→Were I to win the lottery, I would buy a cottage by the sea.
もし宝くじに当たったら海辺にコテージを買うんだけどなあ。 - If you had ten million dollars, what would you do!?
→Were you to have ten million dollars, what would you do!?
もし1000万ドル持ってたら、何する!?
be + to 不定詞 「〜することになっている」
基本的には、今後起こるであろう予定や意図、義務などを表す表現です。
Type 3: Had I taken a taxi, I could have made it there in time.
元の構文は If I had taken a taxi, I could have made it there in time. (タクシーを使っていたら間に合っていたんだが・・・)。この場合も同様に、if を省略し、助動詞と主語が入れ替わります。
- If I had left home one hour earlier, I wouldn’t have missed my flight.
→Had I left home one hour earlier, I wouldn’t have missed my flight.
1時間早く出ていれば、飛行機に乗り遅れずに住んだのに。 - If you had behaved more politely, he would have hired you.
→Had you behaved more politely, he would have hired you.
もっと礼儀正しくしていれば、彼あなたを雇っただろうに。 - If you had asked me, I would have come over.
→Had you asked me, I would have come over.
頼んでくれてば駆けつけたのに。
⑥「とても/非常に〜なので」を強調:SoやSuchが前に
いわゆる so〜that構文、such〜that構文、と学校で習った方が多いのではないでしょうか。She was so smart that she got into the University of Tokyo. (彼女は非常に賢かったので、東京大学へ入った)などという構文です。 この構文のso や such が文頭に来ると直後に倒置が起こります(動詞/助動詞→主語)。
- My daughter looked so ill that I took her to the hospital.
→So ill did my daughter look that I took her to the hospital.
娘がとても具合が悪そうだったので病院へ連れていった。 - It was such a boring time that I was almost sleeping.
→Such a boring time was it that I was almost sleeping.
非常につまらない時間だったので私はほとんど寝ていました。 - He worked so hard that he couldn’t walk back home.
→So hard did he work that he couldn’t walk back home.
彼は必死に働いたので、歩いて帰宅することができなかった。
⑦場所を強調:位置を表す副詞や副詞句が前に
最後は「どこで起きている(起きた)のか」を強調する倒置。場所を表す副詞や副詞句などを前へ持ってきて、動詞→主語の順序になります。この表現は少々特殊で、助動詞では倒置することができませんので、動詞は必ず主動詞(普通の動詞)である必要があります。
- Here comes Jane. (←Jane came here.)
ジェーンがやって来るよ。 - Away ran the dog. (←The dog ran away.)
犬は走って行った。 - By the corner stand three men. (←Three men stand by the corner.)
角のところに男が3人立っている。
主語が代名詞の場合は倒置されないので注意!
Into the room came two cats. → Into the room they came.
Here comes Jane. → Here she comes.
また、動詞は必ず主動詞(普通の動詞)!doesやwillなどは使えません。
倒置法まとめとその他の表現
以上、ざっとメジャーどころをまとめました。しかし、倒置表現は学べば学ぶほどまだまだあります。例えば、
- Mary speaks Japanese. So does Laurel.
メアリーは日本語を話します。ローラルも話します。 - Katy isn’t going to school tomorrow. Neither am I.
ケイティーは明日学校へ行きません。私も行きません。
のように、So〜やNeither (Nor)〜などを使って1つ前の文章に同調する時に倒置が起こります。また、
- “Hi Ken! How are you?” said Mr. Brown.
ブラウン先生は「やあケン、元気かい?」と言いました。
(Mr. Brown said, “Hi Ken! How are you?”)
のように、物語や小説の中で直接法でのやり取りを示す際、セリフ→動詞→主語の語順になることがあります。
倒置表現は一見するとややこしいですが、学べば学ぶほど非常に面白く、テストだけでなく日常会話でよく使われる表現も多くあります。日常会話にひと工夫入れたいとい方、英語で上級を目指したいという方。なんとなく敬遠しがちな倒置法に少しだけ歩み寄ってみませんか。新しい発見がたくさんあると思います。
みなさまの英語学習が少しでも楽しくワクワクするものになりますように!