付き合って長いパートナーが海外駐在の場合、そして結婚適齢期の場合、いつ結婚するかというのは悩ましい問題ですよね。パートナーの海外赴任決定を機に結婚して、海外で新婚生活を始める、というカップルも多いと聞きます。
私と夫が結婚を決めた時、夫は南米のある国に駐在して3年目を迎えていました。結婚しようと決めたものの、この遠距離でどうやって事を進めるか、というのは大きな課題でしたし、今結婚したところで一緒に住めるのかどうかも疑問でした。帰国の話もなかったですし、私を帯同できるのかどうかも全くわからない状態でした。
結論から言うと、私の夫の場合は結婚を機に帰国が決まり、日本で新婚生活を始めることができたのですが(最初の3ヶ月は遠距離でしたが)、多くの国際遠距離カップルにとっては頭を悩ませるところだと思います。
国際遠距離から結婚に至った私たちが結婚を決めたタイミングやそこに至った理由、準備を進める上でぶち当たった壁などについて詳しくお話したいと思います。これから結婚を考えている遠距離カップルの皆さんの参考になれば幸いです。
手始めに馴れ初めから
私たちは高校から同級生で、高校→大学→就職とずっと一緒に同じ畑を歩いてきました。大学では学科もサークルも同じ(専攻は違いましたが)、交換留学の時期も同じ。入社のタイミングも同じで、職場派遣の大学院留学の時期もほとんど丸かぶり(専門言語が違うので留学先も違います)。それぞれ修士を取得して帰国し、ほぼ同じタイミングで職場復帰しました。
その1年後、彼は南米駐在が決まり出発。私は日本に残りました。
知り合ってからここまで十数年間、ただの友達です。恋愛感情は全くありませんでした。
しかし、高校からの同級生で長く同じ言語の畑を歩いてきた私たち。親友だったため、お互いの留学中も、彼が南米駐在になってからも、頻繁に連絡はとり、お互いの近況報告や悩み相談などをしていました。
ある時、お互いにふと気づいたんです。
「あれ?これ私たち結婚したらうまく行くんじゃないかな・・・?」
出会ってから15年目のことでした。ちょうど1ヶ月後に彼の一時帰国が決まっており、ご飯でも食べに行こう、と話していたんです。
一時帰国を前に、日本と南米と超遠距離の状態でビデオ通話越しに、ただの友達だった私たちは結婚を決めました。ある年の5月のことでした。
興味ないとは思いますが、詳しい馴れ初めはこちら↓
一時帰国①(公費):両家へ結婚の挨拶
結婚は決めましたが、具体的な時期などは全く話をしていませんでした。もともと彼が6月に一時帰国をする予定でいたので、彼のご両親に挨拶をしました。するとお義母さんが
交通費を出してあげるから、2人でIchikoさんの家に挨拶に行ってきたらどう?
それまで具体的に話を進めることは全く考えていなかったので、私の両親に挨拶をすることはまだ先のことかと思っていました。しかし、こうなると事はどんどんと進み、夫は「娘さんを僕にください!」の、あの古典的なイニシエーションを、全く予定してもいなかったにも関わらず公費での一時帰国中にクリア(笑)。
7月初旬のことでした。
そして、3ヶ月後に再び自費で一時帰国し、両家の初顔合わせをすることを決定しました。
この時点で結婚式の具体的な日時は決まりませんでしたが、会社の人事発表後、部署移動の時期などを踏まえて次の年の3月下旬ということで両家に承認をもらいました。もちろん人事がどうなるかはわかりませんし、彼が本帰国するか現地に残るのかは全くの未知でしたが、こちらが先にカードを切ることで会社に動いてもらう(つまり、彼を本帰国させるか、私を帯同させるか)つもりで強行突破しました。
- 両家の両親に結婚の挨拶
- 両家顔合わせの日程決定
- だいたいの式の時期を決定(具体的な日取りはこの時点では未定)
- ブライダルフェアや式場見学に周る(3〜4箇所)
一時帰国②(私費):両家顔合わせ→入籍
7月下旬に一時帰国を終え、彼は再び南米へ飛び立ちました。次に彼が一時帰国するのは、両家顔合わせを行う
3ヶ月後の10月(自費)。
彼がいない間、次の一時帰国までに、2人で行ったブライダルフェアや式場見学を踏まえて結婚式場を決定。また、私が間に入って夫や両家や式場と日程を調整し、結婚式を翌年の3月20日に決定。
- 2人で行ったブライダルフェアや見学を踏まえ、式場を決定
- 1人で式場に通い、予算等の打ち合わせ開始
- 両家顔合わせのお店・お料理など決定
数ヶ月後の10月、再び彼が一時帰国した際に両家で顔合わせをし、そのタイミングで婚姻届を提出。
両家のお父さんに保証人になってもらいました。
このタイミングで結婚式よりも半年も早く婚姻届を出した理由は、もし私が彼の南米駐在に帯同されるとなると、ビザの手続きなどが必要になり、早めに夫婦になっておいたほうが良いのではないか、と考えたからです。
(婚姻届に彼が必要なところを記入して置いていけば、私1人で提出しに行くことも可能でしたが、それは絶対にいやでした)
両家の話し合いが終わって入籍してから彼は南米駐在へ戻り、残った私は1人で怒涛の結婚式準備に入りました。
- 結婚指輪購入
- 両家顔合わせ
- 入籍
- 式場と具体的な打ち合わせ(2人で行ける最後の打ち合わせ)
- 招待客をある程度選定
ここで1番後悔しているのは、このタイミングで衣装選定と前撮りをしておかなかったこと。
後に述べますが、彼は仕事が立て込み、次の一時帰国はなんと結婚式の2日前になります。そこから怒涛の衣装選び、小物揃え等・・・。
結婚式の2日前に衣装選びって・・・考えられます?(笑)忙しすぎて前撮りをぶっ込む余裕ありませんでした。
式後も私は休みが1日しかもらえず、後撮りもできないまま彼は駐在地へ帰国・・・
(結婚後も数ヶ月は遠距離でした)
前撮り・後撮りをできず、ちゃんとした写真が残っていないことを数年経った今も本当に本当に悔やんでいます(泣)
恐怖の超絶遠距離結婚式準備
ここからの準備は全てを日本と南米の遠距離で行うことになります。
しんどかった、これに尽きます。
式場と打ち合わせ→即決せずに検討事項を持ち帰り→遠距離で相談(2人とも仕事多忙な上、時差あり)→式場に返答
この流れが定着し、普通の作業が2、3倍の手間と時間に・・。横にいたら一瞬で決まるのに・・・。
席次表やムービーは外注せず、彼が駐在国でDIYしてくれる、とのことでした。忙しいのに大丈夫かな、という不安はありましたが、委託料がかからないということで了承しました。
私はウェルカムアイテム作りや衣装選びなどに奔走しましたが、さすがに結婚式準備で1人で走り回る私の姿に同情した母が、実家から飛行機で2時間かけて2回も来てくれました。なので、ドレスの試着などは1人で寂しく行うことはありませんでした。
お互いの仕事も多忙で時差もある中だったので、近くにいるよりも倍以上の時間と手間がかかりました。何度も何度も喧嘩し、私は何回発狂したかわかりません(笑)。それでも、「ああこの遠距離もあと数ヶ月で終わるんだ、やっと一緒になれるんだ」と思うと、ワクワクが止まりませんでした。
結婚できるという喜びよりも、このしんどさから解放されるというワクワクのほうが大きかったかもしれません(笑)。
一時帰国③(私費):結婚式→挨拶回り
彼の3回目の一時帰国はなんと結婚式の2日前!!仕事が立て込み、ギリギリまで帰国することができませんでした。
2日前に日本に到着し、怒涛の衣装合わせ。なんで前回一時帰国した10月にしておかなかったのかと後悔の嵐です。忙しすぎて前撮りの予定を組むことができませんでした。
この時点で彼は仕事が忙しすぎてあまり寝ていなかったのですが、なんとDIYすることに決めた席次表とプロフィールムービー、エンドロールが結婚式2日前にして完成していませんでした!!!
もちろん、彼は席札のメッセージも全く書けていません。
これは大問題で、式場にお願いして「全て当日になります・・・」というかなり危険な賭けに。
とても素晴らしいプランナーさんで、こちらの事情を理解してくれており、承諾してくださいました。
DIYなんて絶対にするもんではありません。結婚式前日夜、なんとか席次表の印刷が完了して2人で折り込み作業。
私の家族・親戚は前夜祭を開いてくれることになっていて、遠くから集まって準備して待っていてくれたのですが、まさかの本人が参加できず。母はかなり怒っていました(^^;)
その後も彼は寝ずに作業を続け、なんとか当日朝にプロフィールムービーとエンドロールが完成し、当日会場に持ち込む、というなんとも無謀なスケジュールでした。彼、2日間ほとんど寝ずに当日を迎えました。
- 彼の衣装合わせ(結婚式2日前!!)
- 結婚指輪受け取り
- 席次表、ムービー類仕上げ(彼のDIY)
- 結婚式
- 職場の挨拶回り
結婚式後は私の仕事が立て込んでいてあまり休みがとれず、彼も数日後には駐在地へ戻ることになっていたので、後撮りもできず。職場(同職でした)と彼の親戚への挨拶回りだけはなんとか済ませました。
駐在員との結婚まとめ:後悔しないために
私たちの経験から、パートナーの海外駐在中に結婚準備を進める上で大切だと実感したことを3つ述べたいと思います。
DIYはしないほうが良い
パートナーはお互い多忙です。また、その時は手が空いていても、いつどのような仕事が舞い込んでくるかわかりません。ましてや、結婚を決めてから結婚式まではかなり日にちがあることが普通なので、そんな先の予定なんてわかりませんよね。DIYなんて考えず、素直に外注してください。心に余裕のある状態で当日を迎えたほうが良いです。
結婚式前の一時帰国で、できることは全て終えておく
私たちの場合、思い出して指輪を発注することができただけでも幸いでした。上記に何度も書きましたが、2人の衣装合わせ及び前撮りだけは絶対にしておいたほうが良いです。この時点で前撮りしておかないと、ウェルカムアイテムとして写真を使えない可能性が大きいです。また、私たちのように前撮りすらできない可能性も出てきます。
また、2人で式場にできる限り足を運び、相談できることは全て相談してしまいましょう。式のプログラムや引き出物等、決められることは五万とあります。
相談するべきことは相談、でもそれ以外は日本にいるパートナーに任せて
1から10まで全てを遠距離で相談するのは本当に大変です。駐在員さんも自分の思いがあるかとは思いますが、ある程度は妥協し、日本にいるパートナーに任せましょう。招待状やペーパーアイテムのデザインなど、そんな細かいことはパートナーに決めさせてあげましょう。結婚式場で打ち合わせをするのは日本にいるパートナーです。私の場合、その場で返事をすればすぐに決まることも、一旦持ち帰って主人と相談しなければならないことがとても辛かったしじれったく面倒臭かったです。
おまけ:彼は本帰国になりました
私と主人は同職でいわゆる職場結婚。部署が違い、私は日本のあるオフィスで、彼は南米のオフィスで駐在という形でした。
夫婦で南米駐在は認められず、主人も南米の同じオフィスで夫婦で働くことを嫌がっていました。なので、帯同するためには私は退職しなければいけませんでした。
人事の間でどのような理由があったのかはわかりませんが、結婚したことにより彼は日本の部署へ移動、私も彼とは別の部署で夫婦で引き続き働く、ということになりました。会社が私を辞めさせたくなかったのか、もしくは彼のポジション的に家族を帯同させることが難しかったのか、それはわかりません。
それでも、結婚を強行したことにより人事を動かした、と思っています。
当時の私たちの会社には、
「○○(会社の名前)ハサミ」✂️
という言葉がありました。結婚を考えているカップルのどちらかが海外赴任になり、結婚適齢期を過ぎても帰国させてもらえず、結局別れてしまう状況を揶揄したものです。たとえ福利厚生が充実していても、会社が私たちの人生を保証してくれることはありません。「結婚を強行したほうが良い!」というわけではありません。でも、もし海外駐在中のパートナーとの結婚を考えているのであれば、会社の意向よりも、家族そして本人同士の思いを大切に行動することをオススメします。
私たちの経験がお役に立てば光栄です。
Ichiko