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アメリカ留学

【アメリカ大学院】国際学 (International Studies) について紹介

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Ichiko
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皆さんお疲れ様です!Ichikoです。

本日はアメリカ大学院で文系留学を目指している方のために、私が専攻していた国際学 (International Studies/Global Studies) についてお話したいと思います。

国際学は、国際関係学 (International Relations) と違って、国家間の関係などを扱うわけではありません。名前がぼんやりしていて概要が掴めないという方も多いと思いますが、一言で言うと国際的な諸問題に対し様々な視点からアプローチし、解決方法を模索する学問、と言えます。国際的な分野に興味があるけど何を学びたいか迷ってる、とか、国際学って幅広すぎてよくわからない、という方の一助になれば幸いです。

このブログに書いてあること
  • 国際学って基本的にどんな研究をする学部なの?
  • 筆者の専攻分野、人間開発系のフォーカスエリアについて
  • 筆者の研究についてさらっと(興味ない人はスルーしてね)

今後、文系大学院留学を目指す方へ、国際学専攻にしようか迷っている方へ。少しでもお役に立てますように。

国際学 International Studies/Global Studies とは何か

国際学とは、国際社会が抱える諸問題(領土問題、テロ/紛争/難民問題、環境汚染、文化遺産保全、経済格差や貧困など)について、宗教、文化、歴史、社会、教育、経済、ビジネス、政治、コミュニケーション、人権などの様々な学問をベースにアプローチし、解決に向けてその方法を研究する学問です。より良い世界を作り上げるための学問であり、扱う範囲は多義に渡ります。1つの学部だけでなく、学部をまたいで様々な授業を履修する学際的(Interdsciplinary)な学問であり、英語ではInternational StudiesとかGlobal Studiesと呼ばれています。

とは言うものの、上記の全ての分野に精通していなければいけないわけではありません。国際学の中には細かく専門分野が設置されている場合が多く、各大学によっても設置分野は異なります。国際学専攻を考えている方は、自分がどの分野から国際社会にアプローチしたいのか、元々の自分の専門と照らし合わせて吟味して大学を決定する必要があると思います。

国際学の専攻例(私の大学院の場合)
  1. 国際業務と貿易(International Business and Trade)
  2. 広報外交と国際コミュニケーション(Public Diplomacy and Global Communication)
  3. 国際的指導力と開発(Global Leadership and Development)
    (人権・医療・教育・社会などの中からフォーカスエリアを選択)
  4. 災害/危機管理(Global Disaster and Crisis Management)

国際学は上記でも示した通り学際的(履修範囲が色々な学部にまたがる)ので、「これを研究したい」という芯となるテーマを決め、それに沿って色々な学部から自分が必要だと思う授業を履修していく、というのが基本となります。逆に言うと、学部をまたいで様々な授業を履修することにより進行方向が首尾一貫せず、自分の専門を確立することができないという事態に陥ってしまいます。1年目にしっかりと研究テーマを決めておくことが非常に重要になってきます。大学院の国際学部は4年制の大学と違い非常に帰納的な場所です。

私の専門分野【フォーカスエリア】

国際学【International Studies】の中でも、私のフォーカスエリアは “International Human Development, Society, and Education”という長い名前でした。日本語にすると「国際人間開発、社会と教育」と言った具合でしょうか。国際社会が抱える諸問題を、人権や差別、教育や福祉、医療や健康などの観点からあぶり出して解決に向けての糸口を探り、他文化社会の中で活躍できる知識やスキルを身に着けたり、より良い社会に改善していくことを目指す分野です。

卒業後は途上国発展をサポートするNGOや教育機関、行政、人権団体などで活躍することを目指す学生が多いと言えます。

必修科目は現代の課題(紛争、核、経済、貧困、気候変動、貿易協定など、世界に蔓延る諸問題の概要を知るための科目)、国際経済や国際ビジネス、宗教・文化・民俗に特化した科目、そしてNPO/NGO規則に関する規則や知識の習得などがありました。

また、アメリカ人学生には1年間の海外研修(発展途上国での開発援助等)、留学生にはNGO等の国際的な事業を扱う機関でのインターンが必須となっていました。私はと言うと、学校の近くにそのような機関がなく、当時は車を持っておらず交通の便も悪くて遠くの法人へ通うことができなかったので、大学の国際交流オフィス(留学生を担当する事務所)で夏休みにインターンを行いました。主に留学生の手続き関係(学生ビザや労働許可証、出国許可など)や、キャンパス内外での文化交流などの行事スタッフ、入学願書担当者のサポートなどを行っていました。

私の研究テーマは比較教育|アメリカ⇄日本

比較教育へ興味を持ったきっかけ

そのフォーカスエリアの中で、私が研究テーマとして確立したのが「比較教育」でした。私はもともと日本の大学では国際文化学部で英語の教員免許を取りました。教壇に立つことはなかったものの、大学生の頃から日本の英語教育や教育制度、教育システムについては非常に興味があり、いつか何らかの形で関わっていきたいという思いをずっと抱いていました。

当初はアジアの発展途上国での、教育による開発援助について研究したいと思っていたのですが、大学院に入って必修科目を受ける中で、アメリカ人学生と日本で教育を受けた自分との根本的な違いについて考えるようになったのが比較教育の道へ進むことになったきっかけです。

例えば、授業中、アメリカ人学生は教授の話を遮ってバンバン意見を言います。それがすごく理にかなった真っ当な意見である時もありますが、よく聴いていると「え、今言うこと!?」というようなどうでも良い内容だったり、「それは予習してたらわかるだろ〜、Googleにいくらでも答え載ってるよ〜」という初歩的な質問だったりもします。

よくそんなしょうもないことで講義遮ろうと思ったな!と思いながら聴いていたのですが、教授は1つ1つの意見や質問に対して真摯に向き合って丁寧な回答をするのです。自分の講義を途中で中断して、その学生と向き合い、それをクラス全体へ広げるのです。

そこで理解したのが、アメリカ人学生と日本人学生の「授業参加方法の違い」そして「評価基準の違い」です。日本の学校で真面目な生徒の定義は、「先生の話をしっかりと聞き、しっかりとノートを取り、宿題をしっかりとやり、テストで良い点数を取ること」であり、テストの点数を見て先生は授業にしっかりと参加しているかどうかを判断します。授業中に自ら手を挙げて発言する生徒なんてあまりいないですよね。そして教師も、生徒が発言しやすいような授業を展開することがあまりありません。授業の中心はあくまで「先生」です。

しかし、アメリカの教室では、授業に参加をしているかどうかを見極める基準はテストの点数ではなく「発言」なのです。意見でも質問でも何もでかまいません。授業中に見せる積極的な姿勢が大事であり、これがアメリカの「教室文化」であり、「評価基準」なのです。授業の中心になっているのは教師ではなく生徒であり、この環境の中で自分の意見をしっかりと持ち、体系立てて発言する力が養われます。

これを理解した時に、「この教室文化の違いはいったいどこから来るのだろう」という疑問を持ちました。元々の国の文化や教育の歴史が大きく関わっているに違いありませんが、それ以上に現在のそれぞれの国の「教育制度」の違いが与える影響も大きいでしょう。それぞれの国の教室文化(静かにノートを取る日本、積極的に発言するアメリカ)を作り上げている要因は結局何なのか、そこを追求すべく私の研究はスタートしました。

私が目指した比較教育のゴール

研究には目的があり、何のために研究するのかがわからないと行き着く先はありません。私は「世界で活躍できる人材の育成を目指した日本の教育制度の改革」という大それたゴールを設定しました(笑)。アメリカの教育システムや教室文化からヒントを得ることで、日本の教育をもっともっと向上させることができる、というか向上させなければならない、と思ったのです。行政や教育機関に繋がりはありませんでしたが、いつか田舎に帰ったときに、まずは田舎の教育に革命を起こしたいと、そんな小さな夢を抱いてこのゴールを設定しました。

さらに具体的に言うと、2つの国の教育を横に並べて比較し、それぞれ悪いところは削ぎ落とし、双方の良いところだけをピックアップし、より良い教育、グローバル化した世界に対応できる人材を輩出できる理想の教育作り上げようとするのが究極の研究目的でした。教育と言っても幼稚園から大学まで幅広いですが、中でも2つの国の教室文化の違いが顕著に表れ始める中等教育(中学校及び高校)に着目することにしました。

研究テーマは「中等教育における創造性の育成」

世界で活躍できる人材に不可欠な能力。それは問題を発見し解決策を模索する能力、斬新なアイディアを生み出しそれを形にする能力、自分の意見を具体的にかつ体系的に述べることができる能力。つまり一言で言うと「創造力」であるとの前提を立てました。創造力を高め、そしてそれを遺憾なく発揮できる人材を育成するための中等教育ってどんな教育だろう。その疑問を解決するべく、日米両方の学生にアンケートを取りながら双方の教育を比較することにより、理想の教育現場(学校、教室)、理想の教育システムを深く追求しました。

日本の教育って、文化、システム、多方面から見てみると、もちろん改善すべき悪しき風習や型にはめることしかできないお堅い文化などは沢山あるのですが、良い面も沢山あるんですよね。現に、現在の教育のおかげで教育水準は世界でも高い位置をキープしているし、世界で活躍している日本人は沢山います。電化製品や車、漫画・アニメなど、日本が生み出した素晴らしい創造性の賜物も無数にあります。

その一方で、日本の現場の先生方は運営委員会だの部活だのと授業以外にとられる時間が世界一長いと言われています。もう少し先生方が教案に時間をかけることができ、型にはまらないクリエイティブな授業を展開することができると、生徒の創造性育成にも繋がって行くのではないかと思いますが、これには現行の教育システムの改革や学校現場の働き方改革が不可欠です。

一方、アメリカの学校では、学習指導要領のような厳しい方針が学校現場に課されていないというのもあり、現場の教師は比較的自由に授業を展開させることができます。逆に言うと、現場の教師は何をするかほとんとゼロの状態から考えなければならず、必然的に教師が授業準備にかける時間は長くなります。クリエイティブな授業を展開することができる一方で教育水準が安定せず、学校や州によって生徒のレベルにかなりのばらつきがあることは否めません。もちろん、平均学力は日本よりもずっと下になります。

このように、メリットや弊害が混在する双方の教育から、生徒の創造性育成に必要な部分を抜き出して、新たな教育文化・システムを構築することを目指していたわけですが、たった2年間の修士でできる範囲はかなり限られています。本当は日米双方の中学校か高校に長期でお邪魔して、実際に教えてみたり授業見学するなどのフィールドワークもしたかったのですが、それにはたった2年間の修士課程では全然時間が足りませんでした。物足りない、志半ば・・というのが修士を終えた時の感想です。

世界に興味があるならぜひ専攻するべし、国際学!

自分に興味がある分野があり、その分野に精通する教授を見つけることができれば、基本的に好きなことを研究することができるのが国際学の醍醐味だと思っています。とにかく、芯となるテーマ、目的、ゴールを早急に設置し、それにふさわしい教授と授業を探してください。自分のやりたいテーマがその学校の国際学の趣旨にあっているかどうか、学部や特定の教授にコンタクトを取り、質問してみるのも1つです。

私は主に教育学の修士・博士課程用の授業を履修していましたが、20代半ばの私が1番若く、クラスメイトは近くの小学校の校長先生や現役の先生、既にリタイヤした方など年齢層も職業もバラバラでした。しかし、経験豊富なクラスメイトから多くのことを学んだし、それ以上に、彼らのいつまでも学び続ける、教育を追求し続ける姿勢に感銘を受けました。これがある意味では、アメリカの教育が作り上げた人材の姿なのかもしれません。

大学院留学を目指している方、学部専攻に迷っている方の参考になることができていれば幸いです。アメリカ大学院留学について質問等あしましたら、お問い合わせフォームからいつでもご連絡ください。

Ichiko

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